2011年9月10日土曜日

FUTON

中島京子の『FUTON』を読んだ。これは田山花袋の『蒲団』をモチーフにした小説で、花袋の研究をしているアメリカ人日本文学者とその愛人である日系女子学生とその曾祖父を中心とした物語と、アメリカ人日本文学者の花袋研究の成果として書かかれる、かの有名な変態先生の妻の視点から『蒲団』を捉えなおした小説の2つの話が平行して進む。

僕は先日の記事でもふれたが、ついこの間田山花袋の『蒲団』を読んだばかりである。なので、オリジナルの『蒲団』を思い返しながら『FUTON』の中で描かれる妻の視点からの『蒲団』を読み、また『FUTON』のもうひとつの話のほうでも花袋の『蒲団』での人物関係と照らし合わせるように読むことが出来、非常に楽しく読めた。

しかし、この作品を田山花袋の『蒲団』を未読の人が読んだらどうなるのだろう。『FUTON』を読めばオリジナルの話の筋も一応わかるように作られているようだが、それでもこの作品の持つ面白さを十分に理解できないのではないだろうか。なのでこの作品を読もうと思った人には先に田山花袋の『蒲団』を読んでおくことをお勧めしたい。

ちなみに中島京子は『FUTON』でデビューし、『ちいさいおうち』で第143回直木賞を受賞した作家である。

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