2011年9月24日土曜日

人工衛星

明日の昼ごろ人工衛星の破片が落ちてくるというニュースをみた。

何の冗談かと思ったら、アメリカの古くなった人工衛星が大気圏に突入、燃焼して、燃え残った部品が地上に落ちてくるという大真面目な話だったらしい。

大気圏突入2時間前でもどこに落ちるか予測するのは困難だという。しかし落ちてきた部品が人に当たる確立は3200分の1、さらに特定の人に当たる確立は22兆分の1だから心配するなというのがNASAの見解らしい。

これを聞いて、そうか、3200分の1なら問題ないな、なんて思ってよいのだろうか。たとえ確立が低くても危険があるというのは事実なのである。
そもそも古くなった人工衛星をそのまま宇宙に放置するという、地球上でやれば不法投棄といわれかねないような処理をしてきたことに問題があったのではないか。

宇宙は広く、一般人は直接目にすることのできない空間だ。ごみを捨てるにはもってこいのように思える。

ここで思い出すのは星新一のショートショート「おーい、でてこーい」だ。
この作品は突然出現した深い穴にごみやらなにやら手当たり次第に人々が投げ入れたら、そのうちに穴に捨てたものが空から降ってくるという内容だった。

これからどんどん宇宙ごみが降ってくるなどという事態にならなければいいが・・・。

2011年9月10日土曜日

FUTON

中島京子の『FUTON』を読んだ。これは田山花袋の『蒲団』をモチーフにした小説で、花袋の研究をしているアメリカ人日本文学者とその愛人である日系女子学生とその曾祖父を中心とした物語と、アメリカ人日本文学者の花袋研究の成果として書かかれる、かの有名な変態先生の妻の視点から『蒲団』を捉えなおした小説の2つの話が平行して進む。

僕は先日の記事でもふれたが、ついこの間田山花袋の『蒲団』を読んだばかりである。なので、オリジナルの『蒲団』を思い返しながら『FUTON』の中で描かれる妻の視点からの『蒲団』を読み、また『FUTON』のもうひとつの話のほうでも花袋の『蒲団』での人物関係と照らし合わせるように読むことが出来、非常に楽しく読めた。

しかし、この作品を田山花袋の『蒲団』を未読の人が読んだらどうなるのだろう。『FUTON』を読めばオリジナルの話の筋も一応わかるように作られているようだが、それでもこの作品の持つ面白さを十分に理解できないのではないだろうか。なのでこの作品を読もうと思った人には先に田山花袋の『蒲団』を読んでおくことをお勧めしたい。

ちなみに中島京子は『FUTON』でデビューし、『ちいさいおうち』で第143回直木賞を受賞した作家である。

2011年9月9日金曜日

バランス内閣?

発足して間もないが、内閣がバタバタしはじめた。大丈夫だろうか。

小宮山厚生労働相がタバコ値上げを言えば、安住財務相が否定する。前原政調会長が自衛隊の武器使用制限緩和を言えば、一川防衛相が慎重論を唱える。鉢呂経済産業相がエコポイント?的なのをやろうと言えば、同じ経済産業省内から批判が飛ぶ。どうも政府内がばらばらである。

野田首相は党内融和のために民主党内にいくつかあるグループからバランスよく大臣を選び、組閣した。この弊害がはやくも表出してきたと言えるだろう。グループというのはそれぞれ政策などについての考え方に違いがあるから出来るという部分が大きいはずだ。それをむりやりひとつの内閣、政府にまとめれば、「そりゃあこうなるだろ」という感じである。

つまり野田首相は党内のバランスを考えすぎたゆえにかえって、実際に政策を進めていく上では非常にバランスをとるのが難しい政府をつくってしまったのである。
長持ちするためには絶妙のバランス感覚でもって舵取りをすることが求められるだろう。野田さんにそれが出来るだろうか?まぁなんとかがんばってもらうしかないだろう。

2011年9月8日木曜日

北朝鮮対なでしこジャパン

女子サッカーの五輪予選。今日は北朝鮮戦だった。

結果は1対1の引き分け。試合後のインタビューで澤選手が勝てる試合だったのにミスで失点してしまったと言っていたが、素人目にはかなり攻め込まれていたように見えた。北朝鮮は確かに強かったのだろう。

北朝鮮に良いイメージを持っていない日本人はきっと多いだろう。(将軍様とか、核兵器とか、ミサイル撃ってきたりとか…)今回の試合前でも、北朝鮮の主力選手が5人、薬物違反で出場停止というのがワイドショーで大きく取り上げられており、それをみて「やっぱり北朝鮮だから」とか思った人は多いはずだ。僕も少なからずそういう思いを持ってしまった。

しかし今日試合を観て、ちょっと反省。主力5人を欠きながら日本と互角以上に戦った北朝鮮の選手達に対して失礼だと思った。彼女達もまた、日本選手と同じく、真摯にサッカーをしているのだ。政治的イメージをスポーツにまで待ちこんではいけないということだろう。

先入観を排して考えれば、薬物問題にしてもなにも北朝鮮だけがやっていることではない。過去の五輪などではさまざまな国の選手が薬物違反で失格になってきたし、日本国内でも先日プロ野球で(球団のミスだったようだが)薬物違反があった。スポーツの薬物問題にはどこの国とかそういうのは本来ないはずだ。それなのに北朝鮮選手の薬物違反が日本で報道されると、上記のような感想を持つ日本人が多いのは残念な事である。

そんなイメージを持たれてしまう北朝鮮の女子サッカーチームだが、僕はそれを跳ね返して日本人をも感動させるようなプレーを期待したい。それが出来るチームだと今日の試合を観て思った。五輪への切符は二枚。そして現在日本がグループ一位、北朝鮮が二位。大きな舞台で再び日本と戦うところを見せて欲しい。がんばれ北朝鮮。そしてもちろん、がんばれなでしこジャパン!!

2011年9月5日月曜日

内閣支持率

先日発足した野田内閣の支持率が7割という報道をみた。

この内閣支持率という数字、首相が替わったり、内閣改造をしたりすると毎回感心に回復する。
そして毎回感心にすぐ下がる。いい加減首相や内閣が替わったくらいでは日本の状況は改善されないと思ってもよさそうなものだが、新内閣が高い支持率を獲得するということは国民はまだ、政治に希望を持っているということだろうか。

ところで、思わず「首相や内閣が替わったくらい」などと書いてしまったが、本来首相や内閣が替わるというのは「くらい」ではすまないことだろう。
まぁしかし、一年に一回首相が替わり、内閣改造はそれ以上に行われている現在の日本にとってのそれを「くらい」というのはあながち間違いでもないかもしれない。

2011年9月3日土曜日

青空文庫

青空文庫というのは、主に著作権の切れた書籍をテキストファイルとして無料で配信するサービスである。その存在自体はずいぶん前から知っていたのだが、テキストファイルのため通常ではメモ帳によって横書きに表示され、ルビなどは括弧内に表示されるなどの事情から利用したことがなかった。

しかし最近になって、青空文庫のテキストファイルを読みやすく整形してくれるビューワーソフトがあるということを知り、試してみた。

ネットで検索するとたくさん種類があるのだが、今回導入したのはBE-i氏による「窓の中の物語」というソフト。実際の本のように右ページと左ページに分けて表示することが出来、ルビもきちんとした形になる。また、ページめくりのアニメーションがあるのが気に入った。

他のソフトもいくつか試してみたがノベルゲームのように自動送りができるものなどもあり、なかなか楽しい。

で、記念すべき青空文庫第一号として何を読んだかというと、田山花袋の『蒲団』である。中学や高校の国語の授業で文学史をやると、自然主義の作品として挙げられる作品で、ラストに主人公が女弟子の使っていた蒲団の匂いを嗅ぐ描写が有名である。しかしこの描写だけが有名で、実際に読んだことのある人は意外と少ないのではないだろうか。

有名な作品というのはしばしばこういう事態に陥るようだ。『蒲団』は結末が有名だが、川端康成の『雪国』のように冒頭文だけが独り歩きしていると思われる作品も多い。

そんなふうにラストだけ知って満足されてしまいがちな『蒲団』だが、通読してみたらとてもおもしろい作品だった。結末部だけをきくと、主人公はただの変態だが、通して読むとそれだけではないということがわかる。まぁ変態ではあるだろうが…。明治40年とずいぶん古い作品だが、そこまでの読みにくさはなく、そう長い話でもないのでぜひ読んでみてほしい。また、『蒲団』が私小説、つまり作家が自分のことを描いた作品であり、登場人物にはモデルがいたということを念頭に置けば、さらにおもしろく読めるだろう。