一気に読んでしまった。めちゃくちゃおもしろかった。
自分が高校生だったころ漠然と感じていた想いに、言葉が与えられたような印象。こんな言葉が自分にもあったらって思う。まぁこういう言葉を持っているから作家なのだろう。でもやっぱり羨ましい。
しかし羨ましがっていても仕方ないので『ガールズ・ブルー』の中で印象に残った場面を一つ紹介。それは「美談」について語られる場面だ。
思わずうるっときてしまうような美談。それはたとえば急死してしまった元監督のために頑張る高校球児であり、駅のゴミ箱まわりでゴミ拾いをする落ちこぼれ高校の生徒だったりする。これらはうわべだけ見ればいい話だ。しかしその裏にはまったく別の物語がある。高校球児は元監督とウマが合わず、新監督のもと伸び伸び野球をやっているだけ、高校生は自分の捨てたごみを自分で拾っただけだった。そんな背景を知らずにうわべだけ見ていい話だと思い込むのは危険だというのだ。
東日本大震災があり、ニュース番組ではたくさんの美談が報道された。だがそんな美談にも、隠された裏の物語があったのかもしれない。なんとなくさみしい考え方のような気もするが、原発の安全神話も崩れた今、世の中のいろんなことに疑いを持つということは大切なことかもしれない。
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